4. 花の都

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 理解し難いけれど、何となくわかった。アイリスは多分、物に愛着を持ち過ぎて捨てられないタイプだ。 「それじゃあフードを被っているのは何でなの? 正体がバレたくないなら、変身すればいいじゃない」  アイリスもフローラと同様、ひと目見れば誰なのかが分かってしまう色を持っている。先程のように便利なこともあるが、ジロジロと見られて鬱陶しかったり、お忍びで出掛けたい時には姿かたちを変えて出歩けばいい。  自分より上級か、同程度の神気を持っている神なら変身を見破ろうと思えば見破られるが、アイリスは上・上級神だ。そうそうアイリスだと分かる神なんていないし、ましてや天使ならまず、神だとバレないだろう。 「変身して出掛けてみたら、その......うっかり術が解けてしまう事が多くて。あんまり意味が無かったと言うかですね......」 「あー、なるほど、分かったわ。アイリスなら容易に想像出来る」 「なので外出する時は必ずローブを着ていくようにとセフィロス様に言われました」 「ふーん」  みんなの視線さえ気にしなければ、暑い中ローブなんて着なくても良いような気がするが、言われているのなら仕方がない、と思うことにした。
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