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「でも私もお会いしたことはありませんよ。セリオン様から話を聞いただけで」
「私だって同じようなもんだよ。パーティーで会ったっきりさ。まーーーーったく表に出ない方みたいだから、目撃情報が極端に少ない」
目撃情報って、珍獣じゃないんだから。フローラは手紙を書き始めながらセリオンに聞く。
「お茶会や夜会には来ていないの? 噂の的になっているならみんな呼びたいでしょうに」
「アイリスへ送る手紙はセフィロス様宛にするように、だそうだよ」
「なるほどね。送りたくても送りづらい」
アイリスへの手紙はセフィロスの検閲が入るということか。
「でもただパーティーの招待状ならいいんじゃない? 変な内容じゃないんだから」
「何人かは出したみたいだけど、不参加の返事をもらったみたいだね」
「なら風の神殿へ行けばいるでしょ」
従者になったんだから、当然主の住む神殿に住んでいる。重要人物の来客対応は、妻か守護天使がするのが基本だ。
「これがまた、全然出てこないみたいだよ。9年前パーティーで会った時には、そんなに引っ込み思案そうには見えなかったんだけどね」
「ふーん。引きこもりのお嬢さんでないとしたら、セフィロス様が閉じ込めているかもって事ね」
「まさか。そんな事したら他の最上級神が黙ってないだろ」
「まぁいいわ。いずれにしてもリアナ様に頼んで、絶対に会わせてもらうんだから。よしっ、出来たわ」
フローラは自身の神鳥を呼び、書き上げたばかりの手紙を届けさせる。
「2人ともわたくしの報告、期待していて」
自信満々にフローラが微笑んだ。
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