歪み

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歪み

 快適な部屋。  美味しい食事。  こんなに贅沢していて良いのかしら。  お城に来て1ヶ月。  私は第二皇子ライアン様の飼い猫ルナとして丁重に扱われている。  ライアンは私に恩を感じているからか、ペットとして溺愛してくれる。  もうね、人間だった頃の自分に未練がない感じ。  だけどね、やっぱりね、そう上手くいかないわよね。  ほら。  手足が痺れてきたと思ったら、急に全身の力が抜けて、立てなくなった。  目の前が真っ暗になり、頭がグルグル回る。  なんとなく、自分に死期が近づいているのがわかる。  あぁ、所詮平民の私が一生贅沢なんて、夢でしかないんだ。  夢だったとしても……レイナが幸せになるならそれでいいか。  ハッピーエンドを見守ることができた。  それで、充分。
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