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エピローグ
「おやメイ、今日はもう仕事終わりかい?」
隣のおばあちゃんが声をかける。
「おばあちゃん、ただいま!ちょっと今朝起きたら家の中が…ちょっと変で。掃除しなくちゃいけないの~」
そう、今朝目が覚めたら家の中が埃だらけだった。
水ガメの水も腐っていて、ひどい臭いを放っていた。
おかしいな、昨夜寝た時には普通だったのに。
職場に行くと知らない人が何人か増えていた。
「あの人達誰?」と同僚に聞くと、「何言っているの、半年前に雇われてきた子たちじゃない!」と当たり前のように言われた。
出勤前にキレイにし、日干しにしておいた水ガメを家の中に入れる。
空の桶を手に取り、井戸まで歩く。
途中、何匹かの猫に出くわした。
そういえば、昨夜はなんかいい夢を見た気がする。
私が猫になって。
ある女の子の夢を叶えるの。
王子様と結婚して、幸せになりたいっていう夢を。
その後私は猫として、悠々自適な生活を送りましたっていうオチで。
なんか…そういえば私、最後に王子様とキスをした気がする。
いやいや、それは女の子の方でしょ。
その王子様って、今思えば超私好みのイケメンだったのよね。
だけど、あんなイケメンこの世に存在なんてしないでしょ。
井戸から水をくみ上げ、桶に入れる。
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