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私は猫として、仲良くなった猫がいた気がする。
キレイな灰色で…赤と金のオッドアイの…そう、こんな猫。
―――私の家の前で、夢で見た猫が座って待っていた。
「……カイ?」
思わずその名を口にするが、それは夢の中での猫の名だ。
だけどその猫はその名に「みゃぅ」と返事をした。
そしてその猫はタタタッとどこかに走り去っていった。
私は水ガメに水を入れ、また井戸まで水を汲みに行く。
戻ってくると、今度は夢で見た茶色の大きな瞳と巻毛の可愛い女性が、さっきの猫と一緒に私の家の前で待っていた。
「こんにちは。初めまして、になるのよね。私はレイナ・アルカス。あなたの名前を教えてくれるかしら」
レイナと名乗る女性はニッコリ笑う。
その笑顔を見て、私の両目から涙がこぼれた。
夢の中で、その笑顔を見たくて見たくて…その笑顔が永遠であることを願った。
「……メイです」
レイナは私に手を差し伸べる。
―――白くて、傷一つないキレイな手。
私は自分のガサガサな手を出すことを躊躇うと、レイナはその手を強引に掴んだ。
レイナは私を自分に引き寄せ、顔を近づけて言った。
「―――今度はあなたが主人公になる番だよ、メイ」
カイが「みゃう」と一声鳴いた。
(おしまい)
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