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プロローグ
目を閉じていても感じる、雨戸から漏れる満月の光。
「疲れたぁ…明日も仕事だ〜」
枕に吸い込まれながら、今日も一日元気に働いた自分を褒め称える。
ぺんぺらぺんではあるがお布団に包まって、私は眠りにつく。
ん?いつも以上にふかふかな気がする…。
私は目をつむったまま、手探りで布団を確認する。
ザラザラの使い古したシーツではなく、吸い付くような肌触りのツルツルした布地。
―――は?私、何を触っているの?
「さぁ!猫ちゃん起きて!あなたの力で私を王子様と結婚させてちょうだい!」
―――猫?猫がいるの?
王子様と結婚て…物語の主人公じゃあるまいし。
突然の声に疑問を持ちながら、私はゆっくり目を開け、身体を起こす。
―――ここ、どこ?
派手さはないが、窓越しですら見たことがないような立派なお部屋。
大きくてフカフカのベッド。
そして、茶色の大きな瞳と巻毛の可愛い女性が私を覗き込んでいた。
―――誰?
「猫ちゃん、初めまして。私はあなたの主人のレイナ・リルバードよ。あなたの名前は…ルナ!黒猫のルナよ!」
「誰が猫なのヨォ…」眠い目をこする視界に、ピンクの肉球がよぎる。
―――ん?
おかしいな、と思ったその時、私の真後ろでパタン、パタン、と布団をゆっくり叩く音がした。
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