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じょんばけっつ(大きなおしり)
6リットル入りのジャグに麦茶のパックを二つ入れて、ひたひたくらいの量のお湯を魔法びんからそそぐ。
ふたをして、ふる、ふる、ふる。
数分間ふってると、中でしょう油のように濃い液体ができあがる。これを水道の水でうめて麦茶の完成だ。紙コップと氷の入ったクーラーボックス、救急箱もその横に。
コートの外に折りたたみ式のベンチをならべる。座る部分をよくしぼった布でさっとふいてから、上に一枚ずつ水色のビブスをたたんで置いてゆく。
人工芝のコートに入り、蛍光オレンジのマーカーコーンを1メートルごとにならべてゆく。人工芝のチップのせいで黒光りするボールも人数分ネットから出す。
更衣室のドアが外に開き、真っ先に監督が肩をいからせながら出てくる。オールバックの髪に四角いサングラスと細い口ひげ、金色のタートルネック。歯の間をつまようじでしごく監督からデイバッグを受け取る。
続いて金色のユニフォームを着た選手たちが更衣室から現れる。バッグと個人用の水筒を一つずつ受け取り、バッグはひとまとめに、水筒は背番号順にならべる。
「さっさとしろよ」
背番号10の選手の水筒が手をすべり落ちる。あわてて拾おうとしてかがんだら舌打ちされた。
「髪切った?」
「アッコちゃん」
最近ショートボブにしたら、こけしそっくりだと評判の工藤金魚です。
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