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「理由その1。チームのやりたいサッカーとあんたのプレースタイルがかみ合ってない。あんたのチームはゴールキーパーも積極的に前に出て、短いパスをつなぐ。あんたみたいな長身のキーパーが苦手とするやつだ」
ロングキックは通れば大チャンスになるけど、ほとんどがはね返される。それをやると高い確率で監督がキレるのだ。
「その2。このチームはあの10番のチームだ。少年サッカーだと一番うまい子を攻撃の中心に、そこから逆算して他のメンバーをえらぶ。当然キーパーは後回しだ。あんた、10番にあんまり好かれてないっぽいよね」
そんな気はする。鷹央はとにかく私に強く当たることが多いのだ。どんくさい子がきらいなのかも。
「その3。これが一番の理由だ。あんたが試合に出ないほうがチームにとって都合がいいんだよ」
え?
「サッカーは団体競技、試合に出られる選手と出られない選手が出てくる。試合には出られないけどチームを支えて、盛り上げ役になる選手が必要だ。ていうかすげー重宝する。そういう存在がいないとチームが回らないのが現実だ。それが、今のあんた」
いや、それほどでも。
「ほめてないよ。あんた、マネージャーあつかいされてんの。お母さんたちみたいに文句も言わない便利な存在なの。競争すらさせてもらえないで満足か?」
でも、私はまだ四年生だから。
「学年が上がっても変わらないと思うよ。面倒ごと押しつけられる人材、他にいないもん。あんた何でサッカーやってんだ? 会いたいやつがいるんだろ? そいつが今のを見て、好きになってくれるかね?」
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