キーパー女子１

じゃんぼ（髪の毛）

　青森田村高校はスポーツがさかんな学校だ。特にサッカー部は超がつく名門で、何度も日本一になっている。本州の北のはしっこに全国から腕じまん、いや、足じまんが集まってくるほどだ。
　そのグラウンドで月一回、最後の月曜日にそこのコーチが小学生向けにゴールキーパー教室を開いているらしい、と耳にした。けど一回三千円も取られる。だからお年玉を前借りしてやって来た。
　目の前では、私以外の小学生たちが中高生のお兄さんたちに飛び方を教わっている。人工芝の上に落ちるのであまり痛くなさそう。いいなぁ。
「あんたにゃやらせないよ。ケガをする」
　私はその輪には入れてもらえず、あきらかにイライラしている魔女の話につきあわされる。めんどうなことになっちゃった。
「キーパーになりたいって子は、たいてい目立ちたがり屋だ。足でボールをあつかうボールを手でさわりたがるお調子者だ。飛んでくるシュートに体をぶつけることに快感をおぼえるヘンタイだ。けど、あんたは違うだろ？」