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プロローグ
「藤島聡太さん、貴方は柳瀬遥花さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
外国人の牧師さんがカタコトの日本語で、生まれる前から決まっていた私のにっくき許婚に問う。
「はい、誓います」
“誓いません”と答える事を期待するも、ガッカリする。
すぐに私も同じことも聞かれ、仕方なく「誓います」と答える。
お互いの左手薬指に夫婦の証となる結婚指輪をはめ、牧師さんの前で結婚届に名前を記入する。
「それでは誓いのキスを」
牧師さんの言葉に顔が引き攣る。
結婚式恒例の夫婦の契りに別の意味で涙が溢れ出る。
向き合い、背の高い彼が屈んで顔を隠しているベールを捲り、一瞬泣いてる私に躊躇するも、嫌がらせなのか、わざと舌を割り入れ窒息死させるようなキスをしてきた。
先祖代々続く工務店存続のために、なんで私はこの男と結婚しないといけないんだ。
高校卒業した次の日に大安だからと結婚式を挙げさせられた。
悪い虫がつく前に結婚させようと、互いの両親が本人の意志を無視して決行した。
成人が18歳だからと、大学進学する子供に結婚させる両親達に非情さに泣けた。
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