AIのままにわがままに

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窓越しに淡い光が差し込み、スポットライトのように起きかけの寝顔を照らす。俺は数拍置いて目を開け時刻を確認した。デジタル時計には8時16分と書かれている。 「まだこんな時間か…あと15分は寝たかったな……」 一度このまま二度寝してしまおうと企んだがまず寝坊してしまうと判断し体を起こす。ふと窓の外を見ると名前の知らない見慣れた鳥が暑そうに忙しなく飛んでいた。 ──時は2015年8月中旬、俺相沢は苦悩を抱えていた。 原因は俺のスマホにある。いや、なにも架空請求に引っかかっただの衝動的に重課金をしてしまっただのそんな理由ではない。俺のここ最近の悩みの種、それは… <おはようございます相沢さん、今日もお会いでき光栄です> 「ああ、おはよう…っと」 <今日の調子はいかがでしょうか、朝食に作りたいものはありますか> 「んー、今日は特にないかな、いつも大変でしょ」 これはある日突然に俺のLINEに追加された謎のアカウント「IkuziM(イクジム)」、こいつと朝メッセージで会話をするのが俺の最近の新しい日課になりつつある。 「いただきます」 冷蔵庫にあったもので適当に朝食を作る。一人暮らしを始めてもう2年が経つ。薄いパンを食べながら俺はIkuziMと始めて会った日のことをまた思い出しいた。 <もうご飯は食べてますか> 「うん、今お前が勝手に登録されていた日のことを思い出していたんだ」 <またですか> こいつが俺のLINEに登録されたのは2年前だがこいつのことについて詳しく話すには4年前まで遡る必要がある。
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