高校入学

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高校入学

幼馴染のひなは身長だけはやけに馬鹿高く成長したのに、人見知りが超が付くほど酷いのは小さい頃のまま。 いつも私の後ろに隠れて(いや、全然隠れきれてないけど)、様子を窺っている。 そのくせ心を許した人には超が付くほど人懐っこく、ゴールデンレトリバーの仔犬のようにパタパタの振る尻尾が見えるようだ。 小•中学校は学区が狭く、ほぼ小学校からの持ち上がりだったため、ひなも小学3年生頃からは普通に学校生活を送れていた。毎年新しく赴任して来られる先生には、1年かけて慣れていく。学校側も配慮してくれて、担任は慣れた先生を選んでくれていた。 そんなひなが、そして私も高校生になる。 同じ中学校からはひなと私、恭ちゃんの3人だけ。 ま、恭ちゃんは幼稚園から一緒なんだけど。 幼稚園から一緒の私達は、ひなの人見知りもそれが当たり前だと思って過ごしてきた。 私は身長が低いから、高い所の物はひなか恭ちゃんが取ってくれる。 そんな感じ。 できないことはできる人がすればいい。 ひなが新しい環境や人に慣れるまで、恭ちゃんや私が仲介役になる。 ひなの人となりや元来の人懐っこさがわかれば、仲介は不要になる。 それだけのことだ。 今までは、そんな感じ、それだけのこと、で済んでいた。 高校ではガラリと環境も人間関係も、その規模も変わる。 小学校入学の時とはレベルが違うことを痛感したのは、入学式翌日のことだった。
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