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ひなと私
私は小さな頃に父親を亡くしている。
4歳の時だったらしい。
だから私の中のパパの記憶は、ほぼ写真の中のパパだ。
写真の中のパパと私は楽しそうに笑っている。
私はパパが大好きだった。
パパも私のことが間違いなく大好きな顔をしている。
パパの病気がわかった頃に、私たち一家は病院に近い今の家に引っ越してきたらしい。
母方の祖父母が暮らしていたマンションだ。
引っ越してきた頃にはおばあちゃんもいたけれど、今は認知症を患いグループホームに入所している。
ひなの家族とはその頃からの付き合いだ。
ママと七海ちゃん(ひなのお母さん)は幼馴染。歳は七海ちゃんの方がひとつ上らしい。
私たちが引っ越して来て、実家の近くで家を建てていた七海ちゃんとママは、またご近所さんになった。
パパの病院に行くことが多くなったママは、私を七海ちゃんに預けることがあったらしい。
そうして私はひなと出会った。
朧げな記憶だと、私は名前を尋ねた。
「……ひな……」
目の前の子はもじもじしながら小さい声で答えた。
「ひなちゃんね」
可愛らしい顔立ちの子を女の子だと思っても、無理はなかったと思う。
ひなのお姉さんの咲希ちゃん、陽香ちゃんもいたし、何より3人の中で1番可愛かったから。
咲希ちゃんと陽香ちゃんが大笑いし、私はキョトンとした。
「えとちゃん、拓は男の子だよ」
「ひなちゃん、おととのこ?」
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