月曜日の君へ

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「日曜の夜に誓ったリベンジー。」 有名なOfficial髭男dismさんの曲の替え歌を、キックボードに乗りながらつぶやく息子。 彼はいったい何と戦っているのかを聞いてみた。 彼の戦いの相手は、「来週の月曜日。」だった。 確かに月曜日は、戦いだ。 土日休みの人なら月曜日の辛さを経験したことが一回くらいあるのではなかろうか。 朝の目覚ましの音がいつもより不快に感じる。 起きたら起きたで、朝の歯磨き粉が中々出てくれないことや、家族がトイレから中々出ないことにイライラする。 家事の司令塔である、お母さん、お父さん。うまくチームが動かないことにイライラしたことはなかろうか。 そんなバタバタした朝、ようやく学校や仕事やそれぞれの行き先に移動するわけだが身体は中々目的地を目指してくれない。 満員電車に揺られ、ふと車窓から外の景色を見るとこのまま会社を目指さなかったら人生どうなるのかなどと考えてしまう。 結局は無一文になるわけにはいかないから、重い体を引きずり会社の入口を目指す。 会社に入り仕事にとりかかると土日に溜まった仕事にうんざりし、エンジンが中々かからないものだからミスをし、ミスに落ち込めば地獄に行く。 私は何をやっているんだ。 今の仕事むいてないのかも。転職しようかなとか、益々地獄に思考が向かっていく。 ループ。 一通りのループを終えるとやがて就業時間が終る。 今日のような日は、早く帰ろうとそそくさと帰りの準備を始めると厄介な案件が飛び込み残業だ。 厄介な案件が終わったあとは、駅に向かいあるき出す。あちこちに輝くネオンと、食物の匂い。  寄らずにはいられない店の数々。 一度くぐった暖簾の中はまさに天国だ。 ビールに、やっこに、焼き鳥。 「幸せだ。幸せだよ。神様。」 帰宅して幸せのまま寝た翌日の朝はまた地獄の始まりだ。 息子の替え歌はあながち間違えてはいない。 鋭い視点で人の心理をとらえているなんて馬鹿なことを考えていると土曜日はあっという間に過ぎていく。
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