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心臓が太鼓のようにドクドクとイオの胸の中で音を立てている。背中を叩かれて、一歩前に出ると共に、塞がれた視界の向こうに数多の気配が現れた。
「やぁ兄弟。今夜も良く来てくれた」
シン…と人々の話し声が途切れ、同時にイオは自分に視線が突き刺さるのを味わった。
――ぞわり。
「ッ……」
ヴラドの大きな手がドレスの上からイオの背中を撫でて、腰、尻へと降りていく。緊張で冷えていた肌に、男の体温が染み込み、数多の視線はまるでベタベタと触れるかの様に感じられた。
「今日の鳥は見ての通り、田舎から出て来たばかりの野暮ってえ奴だが、とんだ好き者でな。なあ、ジナ」
葉巻のにおいが混ざった吐息が、イオの耳に触れる。見せてやれ、と命じられた。
「――ッ…はい……み…皆様」
ドレスの裾を震える手で捲り上げながら、イオは徐々に頭の芯が燃えるように熱を持つのを感じた。
「ジナマリア、と……申します」
貞操帯に性器を戒められた下半身を晒すと、閉ざされた視界の向こうで幾人かが嘲るように吐息で笑う気配がした。
イオは腹に火箸を差し込まれたかのような強烈な感覚に涙を滲ませながら、浅く呼吸し背を見せる。背だけではない。己に視線を向ける男たちへ尻を見せ、両手で尻を割り開いて見せたのだ。
「どうか」
肉に指を食い込ませ、尻の谷間を晒す。
慣れない女物の靴を履かされた足が、独りでに震え出す。
「今夜、皆様の御慈悲を」
玩具で解し、ヴラドに一度犯された尻孔はぽってりと火照り、充血し、内側から膏薬の名残によってとろりと潤み涎を零している。
白い太腿から膝裏も薄い皮膚の下から血色が透けて浮き上がっていた。
何人かが前に出る気配がする。
つんととがった乳首がドレスのレースに擦れて、さらに疼いた。
「はぁ……♡」
イオは、肩越しに振り返り無意識に自分の唇を舐めて、腰をクッと振り、軽やかな衣装を羽衣のように揺らした。
「この、ジナマリアの腹に、お恵み下さい」
「お前にしては、悪くねぇ」
まずヴラドがイオの耳をれろりと舐め上げた。
「この通り、男が欲しくて仕方ねえ淫乱だ。兄弟、こんな哀れな鳥を腹一杯食わせてやるのも我々の務めだろう? なあ」
「卿に言われては仕方ない」
「幸運な鳥だ。我々は田舎の品のない奴らとは違う」
「もう少し若ければ飼ってやったが」
「クセになっても知らんぞ」
男達が口々に、様々な言葉で覆い隠しながらイオに欲望をぶつけ、手を伸ばす。
「ほら、行ってこいジナマリア」
「あ……」
トン、と肩を突き飛ばされ、イオの体は蹌踉めき、顔も分からない男たちに受け止められた。
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