図書館のキミ

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 わたしに抱きつくように歩くウイカと、しばらく会えなくなるのは、めちゃくちゃさびしい。  幼稚園から、ずっと仲良しのわたしたち。  仲が良すぎていつも一緒にいるし、雰囲気が似てるから双子みたいだねって、みんなに言われてる。  身長や背中の半分まである髪の長さも同じくらい。  着ている服も文房具の好みも似てる。  後ろからだと、とくにわからないみたいで、よくまちがえられちゃう。  ただ似ているのは見た目だけで、性格はちがうんだ。  ウイカはちゃっかり者の妹タイプで、わたしはしっかり者のお姉さんみたいなんだって。  たしかにウイカは三人姉妹の末っこで、わたしは弟がいるお姉ちゃん。  たよられたら、仕方がないなって手伝ってあげちゃうから、家でも、クラスの中でもお姉ちゃんキャラのまま、気がぬけない。  マリンはマジメだよね、って周りが言うから、そのイメージを裏切れない気がして、がんばっちゃってる。  だってそのせいで、学級委員に選ばれたり、ママや先生からのたのまれごともされやすいんだもん。  イヤじゃないけど、時々は甘え上手なウイカになりたいなあって思ったりするんだよね。 「じゃあ、ウイカ! また八月にね、いってらっしゃーい!」 「お土産、買ってくるからねー、マリン! いってきまーす!」  大きく手をふったウイカと別れ、角を曲がるのを見送ったあと、図書館へと歩き出す。  今日は(うち)に帰るまえに、本を借りるんだ。  小さい頃から本を読むのが大好きだった。  だから図書館は、わたしのお気に入りの場所なの。  本がいっぱいならんでいるのを、ながめているだけで楽しいし。  図書館のにおいも好きだから。  今朝、学校帰りに図書館によってくることをママに伝えたら、弟の海斗にも本を借りてきてとたのまれた。  なので、まずは絵本コーナーで、カイトの好きそうな本をえらぶことから。  カイトは動物を主人公にしたものが好き、それと電車の絵本も。  五冊えらんでから、わたしが読みたい本のあるコーナーに向かう。  児童文庫のコーナー、ここにわたしが借りたい本がいっぱいならんでいる。  ズラリと並んだ本たちを前に、うっとりしてから、ポケットに入れていた「読みたいリスト」を取り出した。  今日借りたいものは、ホラー、ミステリー、それと最近はまってるほんのり恋の物語。  リストを見ながら、シリーズものの新しいのを二冊、最近はまっているナゾ解きを一冊、ドラマや映画になった原作の本を三冊。  う~ん、他にもねらっていた本があったけど、借りられているみたい。 ザンネンだけど、返しにきた時に、また探そうっと。
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