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腕の上を蟻が這っている。
ちらちらと目に入るのでよく見ると蟻だった。
とくに感覚はない。こそばゆくも痒くもない。
ただ黒く小さな蟻が右腕を歩き回っている。
そのうち蟻が立ち止まり、腕をかじった。
痛い気もしたが別になんということもない。
振り払う理由もないし、腕の肉を食べる蟻を愛おしくも思った。
生き物が死んだ後に何かに生まれ変わるのかどうか私は知らない。
だがもし私が死んで生まれ変われるとするならば、私の肉を喰らい自分の肉としたこの蟻と再会できるような気がした。
その時私は、
また会えたね。
と、蟻に言うだろう。
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