マッチングゲーム

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 最後の選択肢。  姫様と駆け落ちするか、町人として同じ町で暮らすか。  何も迷わなかった。美桜と一緒に暮らすならこの町がいい。美桜と出会った町だから。  画面にfinの文字が浮かぶ。全問正解だ。息を吐く。スタッフロールをぼうっと眺めていると俺の後ろから手がまわされた。 「やっぱり私と空也は運命の人なんだよ!」  嬉しそうに笑う美桜の声。ゲームごときでなんて言えやしない。 「美桜はさ、なんでこれを条件にしたの?」 「なんでってお互いに正解の選択肢を選べるから。今までの付き合いがあると絶対にクリアできると思ったから」 「俺はてっきりお姫様になりたいのかと」 「ふふ。私は普通の女の子でいい。普通の騎士に憧れる男の子の恋人がいる普通の女の子で」 「なんで俺が騎士に憧れるのさ?」  美桜は手を離して俺の横に座る。 「だって、私をお姫様扱いしたかったんでしょ?」  意地悪そうに笑う美桜につい笑みが溢れる。 「恋人繋ぎで帰ろうか?」 「うん。もう恋人だもの」  騎士にはなれないけど、恋人の普通の女の子を守れる普通の男の子にはなりたい。そんな言葉は脳内で噛み締めて美桜の手を握る。  やっと大好きな人の手を握る。 了
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