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時は流れ、私は本社でほどほどに出世した。
もちろん、ルミコさんの気分次第で露武存になったり、路蕪村になったりするロブソンにも通い続けている。
ルミコさんにラブラブな恋人がいた期間のLOVE SONGと書いてロブソンと読む時期はさすがに無理があると思ったけど、「この前一緒に桜を見に行ったのよ」とか「ディズニーデートしたら足が痛くなっちゃった」などという、ルミコさんらしからぬありふれた恋話も楽しかった。どんなロブソンでも閉店後はマリトッツォやら、がめ煮やらをつまみに、私たちはおおいに語り、飲んだ。
そして次の春を前に、私には数年後の定年を見越して支社長補佐として地元に戻るよう辞令が出た。
「あらあ。じゃあ、私も店を閉めよう」
報告したら、ルミコさんはあっさりそう言った。
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