喫茶ロブソン

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「あらあ、それは辛いわね」 「いや、それがね十年前に別れた相手なんです。とっくに別れた男が、わざわざ連絡してきて私をフッたんです」 「なぁに?どういうこと?」  首を傾げるルミコさんの隣で、私も首を傾げる。 「別れた時にその人が言ったらしいんですよ。十年後、お互いフリーだったら結婚しようって。で、今年結婚が決まった彼がこりゃいかん、と連絡してきた」 「律儀なロマンチストねぇ」 「驚きますよね。確かに嫌いあって別れたんじゃないってのはありますけど。ふつうに考えて待ってるわけないのに」 「嫌いじゃなくてどうして別れたの?」 「高校生のときの彼氏で、進学で離れることになったから遠距離は無理だねって。私は地元の千葉だけど、彼、九州に行っちゃったから」    うどんはとっくに食べ終わっていた。つまみに出されたタタミイワシをばりっと齧ると、苦い思い出がよみがえる。 「どうしたの?」 「急に過去の後悔を思い出しました」 「彼のこと?」 「いや、全然」 「全然」 「でも、その頃のことです。私、第一志望の大学に落ちたんですけど、落ちてなかったかもしれなくて」  
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