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あ、これかな。
心の中で注意警報が鳴る。
本気でそう思ってるのかな。
それとも、私の気を引きたくて、作り話をしてるのかな。
陽菜ちゃんは一人でしゃべっている。
「その時、私達はお百姓さんだったんだよ。今よりも、ずうっと、ずうっと昔のことで、電気や水道も当たり前になくて…」
「へえ」
「紗耶ちゃんは、その時のこと、覚えてる?」
「ううん」
「その他にも、虫や鳥だったことだってあるんだよ。私達、同じ時代に生まれたことが何回もあるの」
「ふうん」
「本当に、何回生まれ変わっても、毎回毎回、友達だったんだよ。あ、でも、一回だけカレシ関係でケンカしたことがあった。500年くらい前。私達がフクロウだった時」
「フクロウ?」
「うん、あの時はごめんね。でも、その次にミジンコに生まれ変わった時は、二人とももう全然気にしてなかったけどね。覚えてない?今から382年前」
陽菜ちゃんの話しは、むちゃくちゃ怪しかった。
でも、私はこのむちゃくちゃ怪しいおしゃべりを、面白いと思ってしまっている。
「ケンカの元になったカレシはどうなったの?」
「あれ以来、二人とも会ってない。多分、私達から遠いところで生まれ変わってるんだと思う」
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