この世界で最強のわたしたち

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 私達は、きゃはきゃは笑い合った。  もしこれが作り話だったとしても、そんなことはたいした罪じゃない。  こういう時の一番の大罪は、「冗談で言ったら、あの子、本気にしちゃってさあ」なんて言いふらすことだ。  クラス替えなどで新しく知り合った子には気を付けたほうがいい。知り合って日が浅いうちは、本当の性格が分からないから。  隣に座っている相手がこんなことを考えていることも知らずに、陽菜ちゃんは無防備に笑う。 「現世でも紗耶ちゃんに会えて嬉しいな。新しいクラスで仲の良い子がまだいないから、寂しかったんだ」  こんなこと、あけすけに言っちゃうんだ。  胸がきゅうっとなった。  この子は多分、本物だ。  本物のフシギ系女子だ。 「ごめん。やっぱり、それ私じゃないと思う」 「えっ」  口が勝手に動いた。 「実は、私も前世の記憶があるの」  正直に言わなければいけないと思った。たとえ陽菜ちゃんをがっかりさせることになっても。 「私、前世はこの世界の人間じゃなかったの。だから陽菜ちゃんのその友達は、私じゃないと思う」
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