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「……。そうなんだ…」
「すぐ言わなくて、本当にごめん」
「うん…」
陽菜ちゃんは、悲しそうな顔になってしまった。
「でも、陽菜ちゃんとは友達になりたいと思ってる。前世のその子が私でないのは残念だけど、それでも良かったら友達になろう」
複雑そうながらも陽菜ちゃんが頷いてくれたので、私はちょっとほっとした。
それから、自分の前世のことを話した。
聞いてもらいたい気持ちもあったんだと思う。私はこれまで、自分の前世のことを、誰にも話したことがない。
「私の前世は一回だけ。どこか遠くの世界の、何千年も前の大昔。私はその時、魔法使いだったんだよ」
前世の私は、平和な国で、のんびり暮らしていた。
豊作になる魔法とか、恋が叶う魔法とか、仕事はそんなことばかりだった。
しかし、そんな人生の中で、一度だけ大きな災いに見舞われたことがあった。
ある日突然、恐ろしい悪魔が私達の国を襲ってきたのだ。
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