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季節は四月の下旬。もう少ししたらゴールデンウイーク。
学校では、まだ友達関係が固まっていない。でも、新学期が始まって一月経ってないし、毎年こんなもんかなと思う。
春は心が不安定だ。
大人も、小五の私達も。
「今日は紗耶ちゃんと遊べて良かった」
陽菜ちゃんが楽しそうに言った。
私達は、公園のイチョウの木の下のベンチに座っていた。二人とも、今日は塾も習い事もなかった。
陽菜ちゃんとは、今年初めて同じクラスになった。
陽菜ちゃんは、ちょっぴりフシギ系らしい。この間、四年生の時に陽菜ちゃんと同じクラスだった子が言っていた。
その子によると、陽菜ちゃんは、自分には前世の記憶があるみたいなことを数人の友達の前で言って、ドン引きされたという経歴の持ち主なのだそうだ。
私達の学年では有名な話しだという。私は全然知らなかったけど。
「私、紗耶ちゃんに言いたいことがあったんだ」
「なに?」
「私達、前世も友達だったんだよ」
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