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(……ん?)
俺は、その写真になんとも言えない違和感を感じた。
(何なんだろう…?)
立ち上がり、写真立てを手に持って、俺はその写真をじっくりと眺めた。
何かが俺の心をざわめかせる。
「……何してるの?」
料理を運んで来た静香が俺に問う。
「え?あぁ、写真を見せてもらってたんだ。」
俺は、写真を出窓に戻し、ソファーに戻った。
「清香、美人でしょう?」
「うん、そうだな。」
「双子だと思えないでしょう?」
「そんなことはない。
静香もけっこう美人だぞ。」
「なによ、無理しちゃって!」
特別なものではなかったが、静香の料理は、見た目も味もなかなかのものだった。
「これだけ出来たら、結婚しても心配ないな。」
「清香が教えてくれたんだ。
コツとか隠し味とか、清香は本当にいろいろ知ってたから。」
「……そっか。じゃあ、これ、清香の味なんだ…」
「……うん。」
「とっても美味しいよ。」
静香は黙って頷いた。
「あのね……実は、ここ、清香の家なの。
清香が死んでから…私、ここで住んでるの。」
「……そうなんだ。」
彼女の中には、今もまだ色濃く清香が残っていることを俺は実感した。
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