天使の誤算~悔恨の自尊心

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* それからは、静香の家で会うことが多くなった。 家だということからか、静香は外で会う時よりもさらにリラックスしているようだった。 ふたりでDVDを見たり、ゲームをしたり… そんなごく普通のことが楽しく感じられる。 まさに、恋人同士のようだった。 だが、そうなる日は来ない…永遠に。 幸い、静香は精神的にもずいぶんと落ち着いて来た。 彼女から離れても良い頃合いだろうと思う。 なのに、俺はその一言がなかなか言えないでいる。 今日こそは言おう…!そう思っていても、静香の顔を見ると、つい言えなくなってしまうのだ。 だけど、今日こそは! 俺は、固い決意を胸に、静香の家を訪ねた。 「あ、いらっしゃい。」 「あれ?どうかしたのか?」 静香は、包帯を巻き、足を引きずっていた。 「うん…実はね、駅で誰かに突き飛ばされて、線路に落ちたの。」 「なんだって!?」 「本当に間一髪だったのよ。 でも、危うく難を逃れて捻挫で済んだの。」 「そうか、それは大変だったな。」 こんな時に、別れを切り出したり出来ない。 俺の決意は脆くも崩れ去った。
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