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静香の捻挫は、幸い、そうたいしたことはなく、線路に落ちたショックも、日が経つごとに薄らいでいった。
「本当に気を付けろよ。
君までいなくなったら、ご両親もたまらないぞ。」
「うん、気を付ける。
でもね、本当に誰かに突き飛ばされたのよ。」
「心当たりはあるのか?
誰かの反感を買ってるとか…」
「まさか。私、誰かと争うようなこと、滅多にないし。」
彼女の言う通りだと思う。
俺から見ても、彼女は、人に恨まれやすいタイプではない。
「そうか、でも、最近はおかしな奴がいるからな。
気を付けようもないかもしれないが、あんまり前の方には行かないとか、とにかく自衛しかないよな。」
「そうだよね。
だけどね、あの時、私の後ろには人がいなかったように思うんだよね。
でも、押された感覚はあった。
どうしてなんだろう?」
「周りのことなんて、意外と見てないもんだからな。」
俺達は、いつものように料理を食べ、他愛ない話をして、穏やかな時を過ごした。
「じゃあ、明日はいつもの公園で。」
「うん、わかった。
……じゃあな。」
いつものようにお互い手を振って、俺は、静香の家を後にした。
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