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「大丈夫だったか?」
「うん、すりむいただけ。」
静香をベンチに座らせた。
膝の傷は痛々しいが、命に係わるようなものでなくて本当に良かった。
「ショーン……あのね。
さっきもまた突き飛ばされたような気がしたの。
でもね…私の後ろには、手押し車を押すおばあさんがいただけ。
私……おかしいのかな?」
俺はすぐには返事が出来なかった。
なぜなら、俺もはっきりと見たからだ。
静香を突き飛ばした黒い影を…
しかし、静香にそのことは言えない。
それは、あの影が人ではなかったから…
(死神か?)
しかし、本来、死というものは、定められた通りにごく自然に訪れるもの…
死神があんな風に無理やり殺そうとするはずがない。
しかも、仕損じている。
もしも、先日の線路の件も、あの者の仕業だとしたら、二度も失敗しているということになる。
そんな愚かな死神がいるとは思えない。
(では、一体、誰だというんだ!?)
「……ショーン、どうかした?」
「え?あ、いや…なんでもない。
もしかしたら、突き飛ばしてすぐに逃げたのかもしれないな。」
今はそう言うしかない。
でも、これは異常事態だ。
静香の身の回りで、何か大変なことが起きている。
俺は、彼女をしばらく見守ることにした。
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