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それからしばらくは、何事もなく、穏やかに時が流れた。
もしかして、あの日見たことは、俺の見間違いだったのか?と思う程に。
「ショーン、明日はちょっと用があるから会えない。」
「用事って、どこか行くのか?」
「うん、私の家を片付けて来ようと思ってね。
家賃ももったいないし。」
「そうか、それなら俺も一緒に行って手伝うよ。」
「……いいよ。」
静香は、なぜだか俺の申し出を断った。
しつこく言うのも何か良くない気がしたので、俺はそれ以上は言わなかった。
「そうか、わかった。
ところで、家までは遠いのか?」
「そう遠くはないよ。
バスで10分くらいかな。
でも、お天気が良かったら歩いて行こうかな。
バスの本数、少ないからね。」
「そうか。じゃあ、気を付けて行って来いよ。」
「うん、ありがとう。」
一緒には行けないが、もちろんこっそりと着いて行くつもりだ。
もしかしたら、俺の杞憂かもしれないけれど、まだどこか心配だったから。
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