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俺達は、近くの人気のない公園に向かった。
彼女はカフェに行こうとしたが、俺の姿は彼女にしか見えない。
そして、彼女はそのことを知らないから、ふたりでカフェに行くとおかしなことになってしまうからだ。
「……本当にこんな所で良いの?」
「あぁ。人が多いところよりも、こういう静かなところの方が好きなんだ。」
「そっか。私もどっちかっていうと、そうかな。
あ、私ね、三原静香っていうんだ。
あんたは?」
良く見れば、けっこう可愛い顔をしている。
年の頃は、20代の後半って感じだろうか。
「俺は、ショーン。安曇ショーンだ。」
俺は、普段から使い慣れた名前を口にした。
「え?やっぱりハーフ?」
「……まぁな。」
「そうだよね?
ねぇ、どことのハーフ?」
「イギリス。」
「そうなんだ。あんた、めちゃめちゃカッコいいよね。モデルか何かしてるの?」
「ま、そんなところかな。」
静香は、次から次に他愛ない質問を続けた。
俺は、それにいい加減な答えを返す。
だって、本当のことなんて言えるはずがないのだから。
俺は、亡くなった人間を天界に案内する死の天使だなんて、言ったところで彼女は信じないだろう。
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