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俺は、サミュエルに教えられたマルセルという天使を探して回った。
「マルセル?あいつなら、確か……」
何人目かにあたったところで、ようやくマルセルの居場所を突き止めた。
「マルセル!」
俺の声に振り返ったのは、まだどこか幼さの残る優し気な天使だった。
「あの…どなた様ですか?」
「俺はショーン。君に訊きたいことがあって来た。」
「訊きたいこと…ですか?」
「あぁ、そうなんだ。」
俺は、最近のヴィクトルについて訊ねた。
マルセルは、俺から視線を外し、俄かに落ち着かなくなった。
こいつは、何か知ってる…!
俺は直感した。
「頼む、どうか教えてくれ!
とても大切なことなんだ。」
「ぼ、僕は何も……」
「俺の前で嘘を吐こうっていうのか!?」
俺は、彼の両腕を掴み、まっすぐにマルセルを睨み付けた。
「く、詳しいことは知らないのです。」
「わかる範囲で良い。」
「あ、あの…二週間程前…ヴィクトル様は、大変、落ち込んでらっしゃいました。」
「どういうことだ?」
「僕の推測なのですが、なんらかの手違いがあったような気がするんです。」
「手違い…?
ヴィクトルの最後の仕事は、いつの誰だ?」
「それは……」
その名前を聞いた時、俺はすべてがわかったような気がした。
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