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「は、はい。じ、実は、ヴィクトル様はせっかちなところがおありで、そ、それで、死者を待つのが面倒だと…
その…それほど大きな差はないのですが、死神が来る前に、自ら、魂を、その…」
「な、なんだと!?
ヴィクトルは、死者に死をもたらしていたのか!?」
「は、はいっ!
死神も、そうしてもらえれば、仕事が減るから助かると…」
「な……」
憤りと呆れで、俺はものが言えなくなってしまった。
それなら、間違いが起きるのも納得だ。
しかし、そんなことをしている奴がいるなんて、信じられない。
いまだかつて、そんな話は聞いたこともないし、そんなことがバレたら、クビ…
いや、下手をすれば、天界から追い出されることにもなりかねない。
だからこそ、ヴィクトルは、自ら死をもたらしたこと、そして、間違えてしまったことを隠蔽しようとして…
(そうか!わかった!)
ヴィクトルは、静香を殺そうとしているのだろう。
そして、清香が本来死ぬはずだった日まで彼女をどこかに閉じ込めて…
間違いをなかったことにしようと企んでいるのではないか?
(なんて奴だ!)
こんなこと、断じて許せない!
俺は血が沸き立つような衝動を感じた。
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