天使の誤算~悔恨の自尊心

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「……ところで……なんか、あった?」 「え?」 ついに来た。 なんて言おう? 俺には、悩みなんてないのに… 「……そりゃあ、話しにくいよね。 まだ会ったばっかりで、私がどんな人間かなんてわからないもんね。」 彼女は、俺の沈黙の意味を勘違いしたようだ。 「いや…別にそういう…」 「私もね…こう見えて、けっこう心は傷付いてるんだよ。 だからね…きっと、あんたの気持ちにも寄り添えるって思うんだ。」 「そうなんだ。どんなことがあったんだ?」 俺が訊ねると、静香は僅かに口端を上げた。 「……私が半分死んだ。」 「えっ!?」 意外な返答に俺は戸惑った。 「私ね……実は双子なんだ。 二週間程前に、私の妹、清香が死んだの。 私達、見た目はそっくりなんだけど、清香は私と違って、頭が良くて、明るくて社交的で、友達も多くて誰からも愛されて… それなのに、なんで、私じゃなくて、清香が……」 静香は、話すうちに感極まって、両手に顔を埋めて嗚咽した。
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