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「……大丈夫?」
「うん、ごめんね。
取り乱して…」
「いや、そんなこと気にしなくて良いよ。」
ひとしきり泣いた静香は、赤い目と鼻をして、健気に微笑んだ。
「ねぇ、ショーン……運命ってあると思う?」
「運命?そうだなぁ…俺にはよくわからない。」
人間は生まれた瞬間に、すでに亡くなる日も決まっている…
そんなことは、言っても何の慰めにもならないから、言わなかった。
「おかしいよね。
清香は、本当に優しい子だったし、誰にでもとても親切だった。
そんな良い子が、どうしてこんな若くで死ななきゃいけないんだろう?
私が死ねば良かったのに…
そしたら、両親も友達も、清香の彼氏も悲しむことはなかったのに…」
静香の瞳から、またぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちた。
良い人間だから長生き、悪い人間だから早死に…そんな風に寿命を決められるなら容易いことだが、あいにく、寿命というものはそんなに単純に決められるものではない。
だが、そんな話をすることも出来ず、俺はただ黙って彼女の涙が止まるのを待っていた。
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