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「ごめんね。本当にごめん。」
「良いんだ。気にすんなよ。」
「私、君の悩みを聞くつもりだったのに、何やってるんだろうね?」
彼女のぎこちない微笑みに、胸が痛んだ。
清香という妹がどれほど良く出来た人間だったのかはわからないが、静香もとても優しい子だと思う。
だけど、今、そんなことを言っても、彼女は受け入れないだろう。
彼女は、妹の死をまるで自分のせいのように感じている。
傷付いた者には良く見られる感情だ。
「いや…声をかけてもらって本当に良かったよ。
たかが失恋で死ぬなんて、間違ってるよな。」
「ショーン、失恋したの?」
「うん、まぁな。」
「信じられない。
あんたみたいに格好良い子を振る女性がいるなんて…」
「俺、こう見えてドンくさいから。
昔からけっこうよく振られてるんだ。」
「信じられないってば~!」
微笑む静香がいじらしかった。
今回、俺が静香にしてやれることはない。
だが、静香は俺の姿が見えるごく稀な人間なのだから、たまに会って励ますくらいはしても良いだろう。
「静香…俺達、もう友達だよな?」
「えっ?そ、そうかな?」
「そうだよ。
なぁ、また明日も会えないか?」
「え?うん、それは良いけど…」
「そっか、じゃあ、約束な!」
俺は、静香の前に小指を差し出した。
一瞬、戸惑ったような表情を見せた静香も、すぐに俺の小指に自分の小指を絡ませた。
「げんまんだね!」
静香の微笑みに、俺も釣られて笑った。
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