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「ねぇ、ショーン…良かったら、うちに来ない?」
「えっ!?」
「あ、深い意味は何もないから、安心して。
私、意外と料理得意なんだよね。」
「そうか。じゃあ、そうしようか。」
静香の家までは、いつもの公園からゆっくり歩いて30分程だった。
住宅街の中にある、こじんまりした五階建てのマンションの二階の角部屋だ。
「……どうぞ。」
「お邪魔します。」
玄関から小さなキッチンが続き、廊下の先はリビングになっていた。
「綺麗にしてるんだな。」
「あら、意外?」
「いや、そういうわけじゃないけど…」
俺は、白いソファーに腰を下ろした。
どこもきちんと整頓されており、センスも悪くない。
掃除も行き届いている。
彼女にはあんなことを言ったけど、確かにちょっと意外だった。
「すぐに準備するからね。」
そう言って、静香は俺の前にアイスコーヒーらしきものを置いて行った。
ふと、出窓に写真立てが飾られていることに気が付いた。
静香と清香が並んで微笑む写真だ。
静香の言う通り、清香は華があるというのか、顔はそっくりだが、髪形や服装、そして表情が静香とはずいぶん違う。
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