6―7 襲撃

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「ほざけ」 ーーお前の本質は犯罪側だーー  式の言葉に未来はぎくりとした。心臓は五月蠅いほど脈を打つのに血の気だけが引いていく、顔は蒼白になる。 「俺に、お前の仲間になれと」 ーーそうだ。こちらに来いーー 「笑わせるな。敵だった者を味方に引き込むとは、よほど自信がないとみえる。いいか、俺は誰にも従わん」 ーーお前はいずれ、妖魔だけでは足りなくなるーー 「だからとて、そっちに肩入れする義理もない」 ーーこちらにくれば、いくらでも殺戮を提供してやろうーー  未来は、ギッと蛾を睨んだ。  やめて。 ーー楽しいのだろう。殺すことがーー 「だからなんだ」  やめて。 ーー来い。こちらにーー   やめて。 「冗談じゃない。それに、もう遅い、お前は俺を怒らせた」  未来の手を握ったまま、二葉はもう片方の手を胸元に翳した。  ごうっと青い球体の炎が出現する。怒り狂いそうな二葉を未来は息を潜めて瞬きすら忘れ見た。恐怖が体を巡った。 「ただで済むと思うな」  二葉は炎に息を吹きかけた。小さな火の粉が飛び散る。 「狐粉(ここ)」  ふわりっと散った火の粉は狐に姿を替え、小さな紙吹雪のように空を飛んだ。 「苦しめ」  火の粉の狐は宙を駆ける。
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