第一章 1-1 熱中症

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──今日はとても暑かった。ってかあいつのせいで辛かった。  未来は窓から洩れるチクチクする光りを見て、休みはどこへいった? と虚ろに目を細めた。  部屋の隅にあるテレビからは、連日続くニュースが流れ、もっぱら観光地の様子を写していた。プールや海水浴。帰省や旅行。大人の疲れ顔と子供の笑顔。それらどれも楽しそう。未来は溜息をつく。  世の中は夏休み真っ只中のはずなのだが。 「ところで体調はようなったんか」  彩兄に聞かれ未来は気怠げに顔を横に振る。腰まである漆黒の髪が、ぱらりと肩から滑り落ちた。ただいま熱中症だ。  それもこれも全部……。 「もぅぅぅ。二葉のせいなんだから」  未来は手を握りあげて、天井に向かって忌々しそうに吠えた。 ************ 本編とは関係ない。ただのイラストです。 949e790d-0c7b-4f6d-b12a-1190b931461e
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