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「あっ、よし!」
純の問い答えず、志賀は車を左に寄せ、ハザードランプを点滅させて路肩に車を停めた。
次の瞬間、志賀はシートベルトを外し、純に覆い被さるように抱き着く。純の背中に手を回し、シートから引き剥がすように引き寄せてぎゅっと抱き締める志賀。
「えっ……夏哉…?」
戸惑う純の耳元で、志賀が耳に口づけて囁く。
「すげぇ嬉しい、ありがと純。でも運転してる時にそんな事言われたら、俺、嬉しすぎて事故るから…」
「あっ、ふふっ、なんだぁ、それでかぁ…」
「必死に車を停められる所を探してた。でも駐禁の車、多すぎなんだよ。今すぐ抱き締めたいのに、どんだけ走らせるんだよ…」
「ふふっ……顔、怖かった…」
「ごめん。集中してないとほんと、純の方、見てしまいそうで…」
「ふふっ、よかった」
「純、本当に内山にそんな事、言ったのか?」
「うん、言ったよ。内山さんにも驚かれたけど……でも私は、自分の気持ちと夏哉を信じるって決めたの。何があっても夏哉と離れないもん」
「ふっ、ふふっ、俺も離さないよ。純、俺だけを見てて」
「うんっ」
2人は見つめ合い、路肩に停めた車の中でキスをした。唇を重ね、舌を軽く絡めた後、唇を離すと志賀が言う。
「今すぐ家に帰りてぇ…」
「ダーメッ! このゴールデンウィークで、色々準備を進めておかないと」
「だってぇ……今すぐ純を抱きてぇんだもん!」
子供のように口を尖らせて、スネたように言う志賀。純は言い聞かせるような口調で言う。
「ダメです! そんな可愛く言ったって、やることをやってから!」
「ちえぇ……仕方ない、夜まで待つか…」
「はい。いい子ですねぇ」
微笑んでそう言い、子供にするように志賀の頭を撫でようとすると、その手を志賀が掴み顔を間近に寄せて言った。
「純、覚悟しとけよ。連休だし、今日は、寝かさねぇから」
純が答える前に志賀の唇が唇を塞ぎ、舌が深く絡まった。散々純の舌と口内を堪能した後、志賀は「行くか…」と渋々車を出した。
式場に着き、ウエディングプランナーの松井と打ち合わせをし、招待状を送り、結婚記念写真や衣装の話し合いをする。
実際に衣装部屋に行き、純のウエディングドレスを見て選ぶ。色んなタイプのウエディングドレスがあり、目移りする。
「うわぁ、これもいいなぁ…」
「ふふっ」
「あっ、こっちもいいなぁ……ねぇ、夏哉はどんなのがいい?」
「えっ、俺? 俺は、純が着るならどれでも似合うから選べないよ。純の好きなドレスを選ばないと」
「えぇ、そうかな?」
「そうだよ。だって出来るなら、ここにあるドレスを全部着てもらって、写真を撮りたいって思ってるもん!」
「それはさすがに無理だなぁ…」
「だろ? じゃ、純はふんわりタイプと細身のタイプどっちがいいんだ?」
「あぁ……そっか。まずはそれだね」
「うん。ゆっくり選べよ。時間はたっぷりあるし、今日じゃなくても何度も通って決めればいい」
そう言ってくれる志賀に、純はそっと近寄り耳打ちする。
「さっきは早く帰りたいって言ってたのに? ふふっ」
すると志賀は純の腰に手を回して引き寄せ、純の耳をカブッとかじり囁く。
「だってウエディングドレス姿の純、見たいもん。いいだろ?」
「ふふっ、うんっ。ありがと」
「うん、選んでおいで」
志賀が腕を離し、純は松井と話をしながらドレスを選ぶ。
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