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11月には純の誕生日を高級レストランの豪華なディナーで祝い、自宅で大きな誕生日ケーキをそのまま食べさせ合った。 12月のクリスマスには、LED照明のイルミネーションが綺麗と有名な観光スポットに行き、色とりどりのイルミネーションを見て楽しんだ。 年末になる頃には、久坂も内山も純にサポートを受ける事がほとんどなくなり、接客にも慣れ客の受けもよく、契約もスムーズに取れるようになった。そして純と志賀は、目黒と吾妻に相談する。 忘年会も兼ねて、2人は目黒と吾妻を誘い、いつもの居酒屋で今後の純の進退を相談する。 「じゃ、純は1月末で退職しようと考えてるって事?」 吾妻が寂しそうに尋ねる。 「はい。久坂君も内山さんも、もう私のサポートがなくてもやっていけますし、そろそろ私達は赤ちゃんが欲しいなって思っていて…」 そう純が話すと、目黒が言った。 「そうだな。久坂も内山も成長したし、そろそろ2人の下に後輩をつけて、もうひと回り成長させてもいいかもなぁ。それにお前等の赤ちゃんを、俺達も早く見たいしな」 「ふふっ、目黒先輩…」 純は嬉しそうに微笑む。 「進君の言う通りだね。私も見たい!」 吾妻が目を輝かせて言う。 「ありがとうございます。じゃ、マネージャーには年始に伝えようと思います。目黒先輩、吾妻先輩、あの2人の事、よろしくお願いします」 純は2人に深く頭を下げて、あとの事を頼んだ。 「おぅ! 任せとけ」 そして年末年始の休暇に入った。純と志賀は昨年と同様、客室露天風呂付の温泉に行き、12月31日から1月2日をのんびりと過ごす。今年も綺麗な星空を眺めながら温泉に入った。 温泉から帰って来て1日休み、翌日の1月4日。今年は、先に志賀の実家に温泉のお土産を持って向かった。それには理由があり、純から志賀の両親に話があったからだ。 リビングのソファーに向かい合わせで座り、母親が淹れたコーヒーで温泉のお土産を食べながら話す。 「父さんと母さんに、話があるんだ」 志賀がそう切り出してくれ、純は姿勢を正して両親を真っ直ぐに見つめ、考えていた事を話し出す。 「お義父さんとお義母さんに話と言うのは、今後の私達の事です。私は今の仕事に区切りをつけ、この1月で退職しようと考えています」 「退職…」 「退職した後、私はお義父さんとお義母さんの元で、志賀総合病院の経営を学ばせて頂きたいと思っています」 「えっ、純さんが、病院の経営を?」 父親が驚きながら尋ねる。 「はい。医療の事は私には分かりません。ですが最低限の言葉や知識は、これから勉強していこうと思っています。未熟な私ですが、精一杯お力になれるよう努めたいと思います。ですので、ご指導よろしくお願い致します」 純は両親に深く頭を下げた。 「俺は1課に異動して不動産の楽しさを知って、やっぱり不動産屋をしたいと思っている。その事を純に話したら、純は自分が病院と佐世保電工の支えになりたいと言ってくれたんだ」 「なるほど。お父様の務める会社も同時に…」 「経営なら純でも十分出来るだろ? 医療の言葉や知識は、俺も純に協力する。この先協力出来る事があれば俺も協力するから、純に経営を教えてやって欲しい」 志賀も両親に頭を下げる。 「もちろんだよ。純さん、ありがとう。よろしく頼むよ」 「純さん、ありがとね」 両親が安心したように微笑み、純に礼を言う。純は両親が納得して喜んでくれた事にホッと胸を撫で下ろした。 2月から純は『志賀総合病院』で働く事になった。
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