after story

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翌日、2人は純の実家へ向かう。純の両親に、昨日志賀の両親に話した今後の話を報告した。 「そうか。2人が決めた事なら、父さん達は何も言わないよ」 「ありがとう、お父さん」 純は笑顔で礼を言う。すると母親は純に尋ねた。 「あなた達は、子供はどうするつもりなの? 予定は?」 その問いに志賀が答える。 「子供はこれから作ろうと話しています。今よりも仕事は落ち着きますし、体に負担がかからないように子供を授かれればと思っています」 「そう。ふふっ、きっと男の子は夏哉さんに似てカッコいいだろうし、女の子は純に似て可愛いわよ」 「そうですね。女の子かぁ……純に似て可愛いだろうなぁ…ふふっ」 母親と意気投合して、志賀は顔を緩ませて話す。 「もう…2人とも気が早いんだから…」 「純、無理だけはするなよ。体を大切にな」 「うん。ありがとうお父さん」 年末年始の休暇が明け、仕事始めの日。純はマネージャーに『退職届』を出し、1月末で退職する事を申し出た。マネージャーには職場を去る事を惜しまれ引き留められたが、家業の事や子供の事を話すと納得してくれ、今までの事を労い「志賀と幸せにな」と応援してくれた。純はマネージャーに深く頭を下げ礼を言って、仕事に戻った。 後日、2課の皆には、マネージャーから改めて純の退職が報告された。久坂や内山はショックを受け寂しがるが、志賀と純の「子供に会えるのを楽しみにしている」と言い「お世話になりました」と頭を下げた。 「頑張ってね。2人なら安心して任せていけるよ」 純がそう言って微笑むと、内山は涙目で言った。 「純先輩、赤ちゃん見せに来て下さいね」 「うん。また遊びに来るよ」 「内山……まだもう少し期間はあるし、俺らで送別会をしようぜ」 久坂がそう言うと、内山は笑顔を見せて頷いた。 純はデスクに戻って、久利生に電話をかけた。1月末で退職する事を報告しておかなければならない。 《もしもし、久利生です》 「もしもし、お世話になっています。志賀です」 《あぁ、志賀さん……何か変な感じだなぁ》 「ふふっ、そうですね。まだちょっと違和感がありますね…」 《でもすぐ馴染むよ。で? どうしたの?》 「あっ、久利生さんに報告しておかないといけないと思いまして…」 《報告?》 「はい。私、1月末で退職する事になったんです。そこで、久利生さんは賃貸契約をどうされるかと思いまして」 《あぁ…》 「もしそのまま契約を続行されるのであれば、契約を引き継ぎますよ」 《そうだなぁ。少し前から考えていたんだけど、そろそろ俺も落ち着こうかなっと思っていたんだ…》 「そうなんですか? では賃貸契約は解約して、マイホームを持たれるんですか?」 《うん。志賀さん、よかったらご主人を紹介してもらえる?》 「えっ! 主人からご購入されるんですか?」 《どうせなら顔見知りの方がいいしね…》 「分かりました。では今から連絡先をお教えしますね」 純は志賀の連絡先を久利生に教え、電話を切った後、志賀の携帯にメッセージを入れた。 数日後、2人は会う約束をし、志賀が久利生の希望する高層マンションを紹介した。久利生は即決で最上階の部屋を購入し、志賀の営業成績に大きく貢献した。
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