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久利生を降ろしドアをロックして、純は久利生をマンションの出入り口に案内する。出入り口を入りエントランスを抜け、2人はエレベーターに乗った。操作パネルの12階のボタンを押しエレベーターが動き出すと、純は久利生に説明する。
「このマンションは15階建てになっていて、内見出来る部屋は、5階、10階、12階の3タイプになっています」
「そう。俺が言った部屋は?」
「この12階の部屋ですね」
クリアファイルに入れた間取りの紙を見せて言った。
「そっか。一応、あとの2部屋もあとで見せてもらってもいい?」
「はい、分かりました」
エレベーターが12階に着き、純が部屋へ案内する。店舗から持って来たカードキーで鍵を開け、ドアを開いて久利生を先に入れる。ドアストッパーでドアを開けたままにしておき、純は久利生のあとに部屋に入った。
真っ直ぐ廊下を進み、リビングに入る。純はリビングの入口に立ち、久利生があちこち見ているのを眺めながら待っていた。
「広いなぁ。それにここからの景色最高だね」
リビングから出られるベランダで、景色を見て振り返り久利生が満面の笑みで言う。
「はい。きっと夜景も綺麗ですよ」
「だよね。うん、いいね」
リビングに戻って来て、久利生はカウンターキッチンや2部屋ある部屋の中など細かく見て回る。時々、純は久利生の質問に答え反応を窺っていた。
「じゃ、次の部屋見ていい?」
「はい」
部屋を出て鍵をかけ、エレベーターに乗り10階の部屋へ向かう。リビングは少し狭くなるが2部屋の広さなどは同じで、キッチンは普通のキッチンになる。景色は同じく一望出来る。
「ふーん。あまり変わらないんだね」
「そうですね。リビングとキッチンが少し違うだけですね」
「うん、ここでも十分だな」
次の部屋は5階。ベランダから見える景色は一望出来るが少し変わる。リビングがもうひとまわり狭くなり、2部屋も狭くなる。キッチンは10階と同じ。
「ふーん。やっぱり狭く感じるね」
「そうですね。5階は1部屋の間取りが狭くなり、1フロアーにある部屋の数が少し増えます」
「あぁ、なるほどね」
「2階にはフィットネスジムやカフェなどが併設される予定です。3階から居住スペースになり、部屋の間取りはこの部屋と同じで9階まで続きます。10階からは広い間取りとなり、12階から15階はカウンターキッチンの間取りになります」
「ふーん。俺は12階の間取りかな」
久利生がそう言って微笑む。
「ありがとうございます」
純は軽く会釈して、気に入ってもらえた事に礼を言う。
「じゃ、店に戻って契約させてもらっていいかな?」
「はい」
部屋を出て純は鍵を閉め、エレベーターに乗り下りる。
「ここって、いつから入居出来るの?」
「来月の中旬頃になるかと思います」
「じゃ、今の部屋、解約の連絡しておいても大丈夫そうだね」
「そうですね。入居可能になりましたら、こちらからご連絡致します」
「うんっ」
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