病院

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病院

これは夢の中での話だ  私は入院していた。どこが悪いのか私にはわからなかったが、入院しなければ行けない状態であったらしい。病室は個室で来るのは看護師と見舞いに来る男一人だけであった。  その男のことは名前も疎か顔もフードで隠されてわからず、私はいつも懐中時計を持っていたことから懐中時計のお兄さんと呼んでいた。  懐中時計のお兄さんは見舞いに来てくれると外出許可を看護師からもらい病院の外に出ることができた。   入院中外から見えるのは植物と木ばかりで退屈だったため外出するのは楽しかった。今回の外出のときそのお兄さんは私に身につけていた懐中時計をくれた。貰えたことの嬉しさと彼の大切なものではないのかという疑問で思わず顔を上げた。お兄さんの顔は影で見えなかった。  あのあとお兄さんが来ることはなく私は看護師にお兄さんのことを聞くが看護師は何も答えない。私は病室を抜け出しエレベーターに入った。  右手に懐中時計を持ったまま私は外に出た。もう彼が死んでいると知っているのに。  とても悲しい夢だった。
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