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「ぐっ……はあぁぁ~~……」
就寝前のひととき、薄暗い部屋の布団の中でスマホ画面を直視したまま、思わず唸り声と感嘆の溜め息を漏らす。
いかんいかん、すぐ近くで妻と子供たちが寝ているというのに。 特に最近長男はそろそろ声変わりもしたのか、なんだか一気に背が伸びてきたように感じる。
「父ちゃんうっさいねん」などとボヤかれてしまうだろう。 勿論、そんな生意気を返してきたら「誰の金でそのタブレット買うた思とんねん、オラ没収や没収!」と父の威厳を振り撒きまくるが。
しかしそんなことを言ってしまうと、長男の守護神である妻に「子供の楽しみをそんなどうでもええ理由で奪わんといたって!」とどやされてしまうに決まっている。 あの妻には、断固口で勝てる気がしない。
……幸い、不意の俺の呟きにて家族が起きることはなかったようだ。 良かった。
ところで、俺を唸らせたものだが。 それは就寝前にスマホにていつもお邪魔するWebサイトだ。 Web小説投稿サイト『グッドハート』。 残念なことに無料ではなく有料なのだが、優良なのだから全然問題はない。
かなり変わった趣向のそのサイトでは、小説を投稿するサイトだというのにランキングというものが存在しない。 いや、正しく表記するならきっと『公表されていない』だとは思うが。
なんでも、『対策が目標になったとき、それは良い対策でなくなる』という所謂【グッドハートの法則】に則った方針であるようだ。
『ランキング上位に入ることを目標として執筆するのは違うだろ』というその精神が、俺に刺さった。 数あるWeb小説投稿サイトからここを選んで愛用しているのはそういうところだ。
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