Plo.

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『どうせこの辺で敵出てくんだろっ──っていないのかよ。じゃあ今の予測間違ってぎゃああああああああああ』 「んふっ」  時にして午後8時半を少し過ぎた頃。  少し薄暗くなったとかとは言えないほど外は暗くなり始めていたそんなころ。  一人の女子はタブレットにかじりついていた。 「あー、おもしろ」  彼女の名は梅落ハル。中学を卒業したのち、高校でいじめられたことで精神を病みそのまま不登校コースへ直行した可哀想な女だ。  そして、またの名を、楼上サクラともいう。  彼女もまた、配信者なのだ。  そんな彼女の推しというのが、この配信者戦国時代とも言える荒波を搔い潜った驚異の新星。Xyneだ。  性別は一応男性とされているが実際の性別は不明。  声で判別できるのではないのか、と思うのだが実際聞いてみると男と言われたら少し声色は高い気がする。かといって女と言われるとそれにしたら低いという、えも言われぬ謎の感覚に襲われる声の持ち主だった。  それでは本人は公言したのか。その問いへのアンサーはただ一つ。NOだ。  出身は地球のどこかと言って謎のまま。外見の特徴も無論謎のまま。  実写配信は一切していないし、つぶやきでも風景的な写真が出されることはめったにない。あったとしても対策しているらしい。  そう、Xyneが大成した理由。それはすべてにおいて謎の人間だからだ。  元々の設定において謎の生命体として生まれてきた生物A、という設定にたがわぬ不思議さをまとう人間性がこの時代とマッチしていた。  彼女も、その感覚の虜となっていた。 『それじゃあ配信終わろうかな。  じゃあおつかれ、また見てね』  そう言って配信終了画面を持ってくる。  彼女はあらん限りのタイピング速度で ”また楽しみにしてる!配信ありがとー!”  というコメントを爆速で打ち、即座に投稿。  配信をみていたタブを切って彼女は机に向かう。  ──明日を、過ごすために。
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