第十一話 水餃子

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「ここ?」 「やってるの?」 「なんだか恐い」 とにかく、まだ九時、行ってみよう。 ギーッというドアの音にびくびくしながら、ごめんください、誰かいますか? 真っ暗だ。 「ねえ、恐いからやめようよ」 「誰もいないのならかえって都合いいし、借りようよ」 「誰もいないのー!」とアレンが大きな声を出しました。 するとがたん、ドタン、バタンと言う音にみんなが驚いた。 すると明かりがフワーッと! 「「「ギャー!」」」 「すみません、いらっしゃいませ。お客さんかな?」青白い顔をした男性は、あごの下から明かりを向けたから更にギャー! 「申し訳ありません、そうなんです、仲が悪くて」 何かあったんでしょうか? 私達は新参者で、よそから来ているのでよけいに、場所も悪いのか?という男性です。 お一人で切り盛りなさっているのですか? 人は雇っていたそうなのだが、奥さんが倒れてからは客が来なくなって、やめてもらったそうだ。 じゃあお客さんは? 誰もいないという。 それに食事も出せないといわれた。そこは作れる場所だけ貸してくださればありがたい話をすると、どうぞといわれた。 それと。 なに? みんなが一斉に私を見た。 「うわー」 「気がつかなかったー」 「断られたのルシアンのせいかよ!」 なによ! 「ハハハ、ここはまだまだ偏見が根強く残っているからね、黒髪は隠したほうがいいかもね」 そこまで聞いて気がついた、頭、隠してなかった。ごめーん! 「染めなきゃ。マルコー」 「まったく、落ち着いてからしてやるよ」 「いい旦那さんだな」 え?違う、弟です。 え?あ、すみません。 「いいんじゃね?」 「だめ、何で俺じゃねえかな?」 「セルはチャラ過ぎるのよ」 「ちゃらおだ」 「レナー!」 キャー。 「すみません騒がしくて」 「どうぞ、二階になります」 「ほら行くわよ!」 女子は一部屋、男子は二部屋に分かれました。 「え?あるんですか?」 「赤ちゃんがいるのでしたら入りたいでしょ、ただ明かりが無いので明日のほうがよろしいかと」 「ぜひお願いします」 「ハハハ、お風呂の支度ができましたら声を掛けさせていただきます、食堂は下ですので、いつでもどうぞ」 ありがとうございます。 顔、手を洗って、寝る前にお湯で体を拭きましょう。 そしたら食事にしましょ。 馬車の中で作ってきたのをゆでればいいだけです。 お湯を沸かすそばでご主人のおなかがグーグー鳴っているとリオがいうので、誘ってごらんといって、ご主人をお誘いしました。 「いただきます!」 ちゅるん、つるんと入って行く水餃子。 スープは薄い塩味ですが、具にしっかり味が付いているのでこれくらいでいい。 ブラム亭のご主人、ガイルさん。 久しぶりにおいしいものを食べたと涙声です。 奥様が寝たきりになると、どれだけ彼女に助けられていたかと手を止められました。 「ねえ」 「ルシアン」 うん。 よければ見て差し上げましょか? よろしいのですか? ここに教会は? ありますが、ブラザーが二人いるそうです。見てもらったのか聞くと、首を振った。ここには病人がいるから行かないほうがいいといううわさも立っているという。 「なにそれ?」 「ひどいじょー」 食事が終わったら見ましょう。 お願いします。
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