第八話 ネギパンとトーチー

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朝です、もう人が起きてまな板に刃物が当たる音がしています。 いいにおいがしすぎておなかがなります。スパイスはにおいだけで薬ですからね。 おはよう。 うす。 井戸の周りで顔を洗う人たち、でもそこには見たことのない身なりの汚い子供たち。 彼らはどこの子? 近くに住んでいる子、どこからか入り込んで水を汲んでいるというのだ。 ねえと声を掛けると、ピューッと駆け出していってしまう子達。 そのいく方を見ていました。 家の裏は川です。 わき道には足跡、川に向かっています。 すると、ずぼっと脚が、にゅるっとした泥の中に入っていきます。 うわ! 辺りを見ると、足跡はありません、その代わり、四角い後があるのです。よく見ると、その脇に足跡らしいもの。 泥から出てその様子を見ます。 先にある船。 洗濯物がぶら下がっていますが……。 下で何かをしている人たちが見えます。 水を船に上げているようです。 泥・・・板・・・あー、有明海。ムフッ、いけるかも。 「ルシアン、どこ行ったんだい」 「ここー」 「鍋吹いてるよ」 「ウワー、今行きます!」 くせーな、と鼻をつまむアレン。 「我慢しろ、まだか?」 「もうそろそろなんだけどなー」 スープ屋に来る、貧しい子達にこの辺のことを知っている子はいないかと聞き、案内を頼みました。 入り組んだ道。 怖い大人たちを避けるように進んでいきます。 「見えた、あれ、あのでっかい板の辺り」 そのときです。 「マルコ、アレン」 声がした。 アタリを見ますが、誰もいません。 キラッと光りが目に入りました。 「下、足元」 手が出ていました。その手が持っているのは鏡です。 向こうと指差します。 指差すほうへ行くと、その先は大きな川でした。 そこに現れたのは、木の板に片足を載せ、泥をこぎながら繰るルシアンの姿。 二人は、ルシアンに抱きつき、無事を喜ぶのでした。
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