第九話 隣の領地とぶどうジュース

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第九話 隣の領地とぶどうジュース

私は一人。荒野を西に向かって歩いていた。 朝四時、西の王都、マージェアへ向かう道は暗闇でまだ誰も歩いていない。 大きな木下には、荷車や馬車がある。 まだ休んでいるのか、薪が消えそうだ。 調べていくうちに、私達が泥棒で入ったところは何かしら王妃ジルベアとつながっていることが分かり、それをつなげている人物がいるのではないかと思っている。 だから、男がいないか調べてほしいと頼んだのだ。 王以外の男。 いたら、打ち首獄門?と聞いたら、なんだそれはというから、首を切られてさらし首になるのか言うと、えげつないなと言われてしまった。 だが斬首であることは確かだ、この国の王妃なのに、王以外の男となると大いに問題がある。 隠し子なんかいたら大事になる。 隠し子、あり得るだろうか? エル様は、この世界、王族の裏ではあまりいい事はないような話ぷっりだった。 何かが引っ掛かる。 暗殺。 でもこの城を牛耳っていた兵隊長は今はいない。 あのカールとかいう人、だいぶエルは信用しているみたいだけど……?一応、誰も信じないという第一皇子の世話をすることになったC様にはくれぐれもきおつける様には話しておいたけどね。 失脚させた裸の王様、マッシュ領の貴族エード。いまいる南東の旧王都、エルージュと王都の中央にあるこの領地は北に広がる逆三角形の形をしている。 エルには、エードの代わりに領主になってもらい、一応仮の副領主を置く事にした。 一度エードの親戚を置いた。 ジルベアが何かつなぎを取って来るのではないかと思っていたら案の定、酒の事で、難癖をつけてきた。 だが酒は作っていない、ブドウをつぶしてこす、そこまでで送るのだ。 あくまで酒にするのは送られた場所らしい。 ブドウ汁はこの国で消費されるものではない。どこへ行くか?メルクである。 みんなが調べるうちに、ほとんどがメルクへ流れていることにやっと気が付いたのだ。 遅すぎたかと言うが、この世界、車もなければ自転車でさえないのだから、時間の流れはさほど早くはない。 だから動きは鈍く、まだ間に合うとふんだ。 そして、信用のあるものだけが動くという事で、私が王都行をかって出たのだ。ただこれを知っているのは数人だけ、あまり広めることはできないからね。 驚いたのは言うまでもないが、私が適任だと思った、それと行ってみたいところもあったし……。 二人の皇子は腕を組んで考えていました、やはり兄弟そっくりよね。 「いいんじゃないか?」「いいだろう」 二人はそう言いました。 ほかの人達は反対です。 ナゼかって?私はその報酬として、ジルベアの持っている物、敷いては王様の持っている物を盗ませてほしいと頼んだんですもの、そりゃあ反対するわよね。一つ間違えれば国のお宝の可能性もあるんだもの。 エルは一緒に行くって聞かなかったけど、それぞれに役割を与えたし、大事な事だしね。 最終的に落ち合うのは王都、オッチャンにつなぎを頼んでおいたレフトの教会で落ち合う事にした。 私だけ、王都へと向かう事にした。子供たちには内緒だ。泣かれるのはわかっているから。 街道は三本、北側、中央、南。最短で行くのは南のルートだが今回は中央ルートだ。北は戦いに近いから通る人は少ない、それより難民でどこもあふれているようだ。 王子たちは南のルートだった。よく出会えたものだと感心した。 そろそろマージェアから出る。徒歩だ、ゆっくりいけばいい。 ここへ来たときの事がよみがえる。 フフフ、みんな大きくなったよなー。 「なんでひとりなんだよー」 え?マルコの声が聞こえた? え?どこ?辺りを見回す。 「まったく、俺たちがいなきゃ、何にもできないくせに」 ベルの声だ?冬の朝はまだお日様の影もない、暗闇で見えやしない。 「あのな、俺たちは家族なの、なんで置いていこうとするんだ?」 暗闇に出てきた人影、セル? 一人じゃない、そこには数人の影。 涙が出そう。 「なんでついてくるのよ!あんたちは、家族を守る義務があるんでしょ!店は!ファームは!私は頼んだはずよ、帰ってくるまで頼むって!」強がり、素直になればいいのに。 「それは女たちに頼んできた、いいだろ、俺たちは、ル・ラータだ、一人じゃねえ、ネズミは、大家族なんだ、それを食わせるのは俺達長男たちだろ?」 「そう、そう、まだまだ増やすつもりだろ?あの店は、王子たちにやらせてさ、なに企んでんだかと思ったけど、オミトオシ」 「ねえちゃん、ほら、こいつらもちゃんとわかってる」 瓶の中には、蜘蛛の子たち。 「もう、もってきたの?」 手を出すと叩かれた。 「行くぞ、王都」 「スープ屋を始めるには俺たちがいないとな」 「そう、そう、荷物はばっちりだからな!」 荷物? 指差した場所には馬車? ほろから顔を出したのは。 「一人でなんか行かせないからね!」 え? 「そうだじょ!」 「キャー!」 その声を聞いたら、もう涙があふれてきた。 飛び出してきた影は三人。 レナ、リオそれとアレン! 「はい、ママよ」 ケンタ…。抱きしめた。 「まーま、まー」 ごめん、ごめんね。 「はー、やだやだ、また一からかよ」 「行きたくないなら残れ」 そうじゃないってばー! レナとリオは私の腕を取り、こう言ったの。 「あの日助けてもらったのは、こうなる運命。今はちゃんとした家族、離れないからね」 「そうだじょ、離れない、どこにでもついていくじょ!」 二人とも。 「さて行こう、新天地で開業だ!」 おー!
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