第十話 ソーセージたっぷりポトフ

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「それよりも、セシル頼まれていた物持って来たけど、ここで出す?」 「ちょっと待った。またあの鞄から出すの?」 もちろん。 隣の部屋に行きましょう。 「マルコ、帳簿お願い。計算誰がやる?」 「私、私!」 「へー、リオ、できるようになったんだー」 「任せろだじょ!」 一応彼女の方からもいいというので構わない話をした。 子供たちは勉強好きで、計算は楽しいみたい。 「算盤も作ってるのよ」 「それはいいね、ここでいい?」 「うん」 鞄からは、布、糸、出汁に使う者達です、それとは別に、馬車には石鹸、紙類です。 知らない子は目を丸くしています。 「以上ね、後はハイ、これレシピ」 「ありがとう、これが一番助かる―」 「あってるよ」 「じゃあそれの二割を現金で、赤く染めた布を三割で買うから、その差額を出して」 私の言う言葉が分からない子は、あたふたしている。 リオがちゃんと教えてあげている、いい事だ。 「売れ行きはどう?」 「順調、女の人も大事なものだってわかっているから」 「そう、よかった」 彼女は私のまねはできないけど何とかやっていると言って、私達の商談を終えると城の中を案内してくれたのです。 行きかう人は明るく、ちゃんとあいさつが出来ています。 彼女が一生懸命やっていることがよくわかります。 「どうぞ、ごめんね、部屋二つしかないから男女で」 「十分よ、ワー、さすがもとお城、眺め最高ね」 ここはアリア様やケイル様も来て使ってくれるという。 彼女もまた、私と同じで、二人に助けられた一人だ。 ほとんどがみんなの宿泊施設になっている。大きな部屋は仕事部屋。 「じゃあお店は?」 「居酒屋だろ?」 「では、お店にご案内しましょう」 私達は、明るい階段を下って行きます。 盗みに入ったワイン蔵へ行く道です。 さほど長い階段ではありません、下から聞こえて来たのは人のざわめきです。 「うわー」 「こりゃすげえ」 「広―い、お店だ!」 「ここはワイン蔵だったでしょ、だから、お酒をメインにした。ルシアンの言ったとおりにね」 少し早いけど食事にしようか。 やった! 「セシルのポトフが食べたい!」 「ソーセージ!焼いたのがいい!」 「あと、じゃがいものパン!」 俺も、私もと注文します。 ここでも赤いエプロンと三角巾、男性は黒い布を巻いています。 「はい、ルシアン、マルコもセルももう大人だもんね、ワインよ、名前はルシアンと付けたは」 「いいのか?」 トクトクとつぐ音、そしてお酒のいいにおいが広がります。 「うん、あーいい香り」 コクリ、久しぶりに飲んだアルコールは血が熱く体の中を回るのがわかる。酔いは、頭をふわりとさせた。 「これが酒、うまいな」 「甘めでいいね、これなら俺でも飲める」 「飲み過ぎちゃいそうね、でもいい、呑める人が分かればいいし」 おいしい食事をいただき、私は教会へ向かいました。 日が落ちましたが教会から出る人や外から人が流れるようにお城の地下へと入って行きます。 教会の中も多くの人がうごめいています。 受付に行き、手紙の話をして、見習いのカードを渡しました。するとお待ちくださいと言われて待つことに。 前の領主は、適当で、やる気のない人たちでどうしようもない話をエル様はしていたけど、持ち直したみたい。 「お待たせしました、どうぞ、マスターがお待ちです。領主代理も来ますので、こちらへどうぞ」 「ルシアン、うれしいは、アリアからはよく話を聞いていたの、あえて光栄よ!」 ここのマスターは女性でした、名前はチェリー様です。 手紙を渡すと私を座らせ、彼女は奥の席で読み始めました。 「わかったわ、何かの時は手助けしましょう、でも本当にメルク国を倒せるの?」 わかりません、こればかりはやってみないと、戦いの経験もありませんから、王子たちもしっかり作戦と立て、何が起きても動揺しないようにしなくてはいけないのですから。 トントントン。 「どうぞ」 「失礼します、領主代理をお連れしました」 「入れて頂戴」 「失礼」 ウワー、またこんな人? それはあの裸の王様、エードにそっくり、髭は横にはやし、グリーンの髪はおかっぱで、まあ、スーツのような物を着ている分いいか? 背がひょろりと高く、澄ました顔。 私の前に座ると足を組んだ。 小さくため息をつき、王子からの手紙だというと胡散臭そうに受け取ってみ始めた。 私の顔を見ては手紙を見る、何が書いてあるんだ? 「失礼いたしました」と姿勢を正したぞ? 「殿下の婚約者様だとは、男性とばかり思いまして、失礼、クリバヤシグループの総裁もされていらっしゃるのですね、お会いできて光栄にございます」 彼の名はシード・レ・ノベルート。シードにエードなんだかな? 婚約者に総裁!そっちもまあいいか。
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