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さてこちらは、マッシュ領がそろそろ終わります。
目的地、ちょっと北よりに位置する、モント村だと思われます。たぶんそうでしょう、地図は大体の場所で、ほとんどが道にある矢印のようなものを頼りに行きます。
人の話。村が見えてくれば、黙っていても聞こえてきますからね。
予定では三日かかるので野宿した先で朝早く出て昼過ぎには付く予定でしたが大幅に遅れ、今、夜七時です。なぜかというと、この村に入るながーい列に並んでいるからです。
待ちつかれます。
馬さんも、ぼちぼちとしか動かないからつらそうで、今ははずして人力で動かしています。
ここでの思いではいい物がありません、ただあの時とは違います。堂々と村へ入りましょう。
ガシャン!
目の前でやりを合わせる人たち。
「身分証明書を準備しろ」
「馬車から降りて案内に従え!」
なあ、おかしく無いか?
シッ、ここは黙って従いましょう。
「女はそっち男はこっちだ。荷物を調べる、中をあけて見せろ!」
私達はここへ入る前に教会の制服に着替えました。アリア様がそのほうがいいとおっしゃってくれたからです。
「見習いか、どこへ行く?」
「王都です」
「よし通れ」
おでこに当てるのはブラックライトのようなものです。
「お前女か?」
「旅をしていますので、この方が安心です、何なら脱ぎましょうか?」
調べているのは女性です、胸だけ触らせてくれといいます。
「まむー」
「何だ子ずれか、通れ」
ケンタありがとね。きゃい!
馬車の中も変わったものは無いと通してくれました。
けっこうしっかり調べられた。
何を調べているんだろう?
少しよけて、その様子を見ていました。
「これは何だ!」
「何だって宝石だ、王都に行って金に変えるんだ」
「この村での換金は認めない、中に入れることはできない」
「そんなー」
宝石?
「悪いね、孤児は入れられないんだ」
こっちでは違う人がしゃがんで話をしている。ああ、この人はいい人そうだな。
「いいぞ入れても、金三枚だがな、払えるならな。がはは」
笑う人を見上げ、さっさと行けと言う様に背中を押した人です。
「昨日頼んだばかりなのに厳しくないか?」
「ああ、独自でしてるにしちゃあ、なんか様子が変だな」
「あ!」
どうした?
あのおっちゃん、金胸に入れた。
笑っていた男です。
入れたのは商人のよう、背負子を背負っていますが、金を渡したのでスルーです。
「どうする?」
「セル、ベル、お願い」
よっしゃ。任せろと制服を脱ぎ商人をつけました。
「私達は村長のところと宿を探しましょう」
五年前、ここはもっと難民であふれかえっていた。
言葉が分からない私はその難民に紛れこの中に入ろうとした。
でも、ここで男たちに絡まれた、女もいた。
疲れていて、逃げるに逃げられずいた。
笑われ、長い髪を引っ張られ、転がされ、バックを必死で守った。
マルコとセル、それ以外の子たちがそれに加担、私の手を引っ張って逃げる子達と、ここには入らないで逃げた。私が逃げるとちがう人を襲っていた。
―― そういえば、あのときであった子達は今どうしているだろうか?
私達は人に聞きながら村長の家へときました。
ドンドンドン。
「はーい」
女性ですが私よりは年上ですね。
「夜分すみませんこの村の代表の方のお住まいだときいてまいりました、ご主人様はご在宅でしょうか?」
教会?
女性の後ろから若い女性の声がしました。
今はいないという。
いつごろお帰りになられますか?
今夜はわからないという。
では明日、いつごろがよろしいでしょうか?
さほど早くなければ朝にでも。
かしこまりました、ではこれをお渡し願いますか?教会見習いのルシアンが来たと、それと一緒にお渡しください。
それではとそこを去りました。
「お母さんそれ何?」
「何だろうね、エルージュ領クリバヤシグループ総裁、スープ屋代表、ルシアンだそうだ」
それ何?と男の子の声。
ミク、どうした?
ううん、行こう、遅くなった。
「すまないね」
「すみません後宿屋はありますか?」
ここまで三軒断られました、どこも遅いのかいっぱいだといわれ、宿屋は仲が悪いのか無いという、それでも三軒あったんだ。
もうどこでもいいよという子達。
そこにやっと出くわした、セルとベル。
「どうだった?」
「やっぱり石、それだけじゃなかったけど」
二人に宿屋が無い事を話した。
すると、その男が行った場所のそばに宿屋があったというベル、セルは気がつかなかったというが、行って見る事にした。
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